【助産師監修】妊娠中の便秘解消マッサージ|安全なやり方と時期別のコツ

妊娠中のつらい便秘、薬に頼らず何とかしたいけれど、お腹の赤ちゃんへの影響が心配でマッサージをためらっていませんか。
この記事では、助産師監修のもと、妊婦さんが安心して実践できるマタニティ向けの便秘解消マッサージを、時期別の注意点や正しいやり方とともに詳しく解説します。
安全なセルフケアを習得し、自力でのスッキリを目指しましょう。
この記事でわかること
・ マッサージを始める前に確認すべき体調のサインと注意点
・ お腹に優しい基本の「の」の字マッサージの正しいやり方
・ 妊娠初期・中期・後期それぞれの時期に適したケア方法
・ マッサージ効果をさらに高める食事や運動などの生活習慣
まずは確認!妊娠中のマッサージを始める前に知っておきたい注意点
妊娠中のマタニティマッサージは、リラックス効果や血行促進が期待できますが、始める前には必ずご自身の体調を確認することが大切です。
特にデリケートな時期であるため、安全を最優先し、無理のない範囲で行う必要があります。
まずは、マッサージを控えるべきサインと、行う上での基本的な心構えを理解しておきましょう。
なぜ妊娠中は便秘になりやすいのか、その原因を知ることで、より効果的なセルフケアにつなげることができます。
マッサージを控えるべき体調のサイン
妊婦さんの体調は日々変化します。
お腹の張りや痛みを感じる時、出血がある時、切迫早産や妊娠高血圧症候群など医師から安静を指示されている場合は、マッサージを行わないでください。
その他、普段と違う体調の変化を感じた際も、自己判断でマッサージはせず、かかりつけの産婦人科医に相談することが重要です。
安全を第一に考え、少しでも不安がある場合は中止する判断が求められます。
マッサージを行う際の基本的な心構え
マッサージは、心身ともにリラックスした状態で行うことが効果を高めるポイントです。
食後すぐの時間帯は避け、入浴後や就寝前など、落ち着ける時間を選びましょう。
妊婦さん自身が「気持ちいい」と感じる優しい力加減を心がけ、強い圧迫や長時間のマッサージは避けてください。
あくまでセルフケアの一環として、ご自身の身体と対話しながら、無理なく心地よい範囲で実践することが大切です。
そもそもなぜ妊娠すると便秘になりやすい?3つの主な原因
多くの妊婦さんが経験する妊娠中の便秘には、特有の理由があります。
主な原因はホルモンバランスの変化、大きくなる子宮による物理的な圧迫、そして生活習慣の変化の3つです。
これらの要因が複合的に絡み合うことで、便秘が起こりやすくなります。
原因を理解した上で、次はいよいよ具体的なマッサージ方法を見ていきましょう。
原因1:ホルモンバランスの変化による腸の働きの低下
妊娠すると、プロゲステロン(黄体ホルモン)という女性ホルモンの分泌が活発になります。
このホルモンには、妊娠を維持するために子宮の筋肉の収縮を抑える働きがありますが、同時に腸の蠕動(ぜんどう)運動と呼ばれる、便を押し出す動きまで緩やかにしてしまいます。
この影響で、便が腸内に留まる時間が長くなり、水分が余計に吸収されて硬くなるため、妊娠中の便秘を引き起こしやすくなります。
原因2:大きくなる子宮による腸の圧迫
妊娠週数が進むにつれて、お腹の赤ちゃんが育つ子宮は大きく、重くなっていきます。
大きくなった子宮が背中側にある腸を物理的に圧迫することで、便の通り道が狭くなり、スムーズな排便が妨げられることがあります。
特に妊娠後期になると、この圧迫が強まるため、便秘の症状が悪化する妊婦さんも少なくありません。
原因3:つわりや運動不足による生活習慣の変化
妊娠初期にみられるつわりによって、食事が十分に摂れなかったり、水分補給が不足したりすることも妊娠中の便秘の一因です。
食事量が減ると便の量も減少し、排便のリズムが乱れがちになります。
また、お腹が大きくなるにつれて体を動かす機会が減る運動不足も、腸の動きを鈍らせる原因となります。
これらの生活習慣の変化が、便秘をさらに悪化させる要因です。
【基本編】お腹の赤ちゃんに優しい「の」の字マッサージの正しいやり方
妊娠中の便秘解消マッサージの基本となる「の」の字マッサージは、腸の走行に沿って優しく刺激を与えることで、自然な排便を促す方法です。
お腹の赤ちゃんに負担をかけないよう、正しい手順と力加減で行いましょう。
妊婦さんがリラックスできるタイミングと姿勢で行うことが、効果を高める鍵となります。
基本のマッサージに加えて、妊娠時期に合わせたアプローチを取り入れることで、さらに効果を高めることができます。
マッサージを行うのに最適なタイミングとリラックスできる姿勢
マッサージは、体が温まりリラックスしている入浴後や、就寝前の時間帯に行うのがおすすめです。食後すぐの腹部マッサージは、消化のために胃腸が活発に動いているため、食後30分~1時間後を目安に行いましょう。
姿勢は、楽な姿勢で行うことが重要です。仰向けが辛い場合は、体の左側を下にしたシムスの体位など、ご自身が楽だと感じる姿勢で行ってください。特に妊婦さんの場合は、大きくなった子宮が血管を圧迫する可能性があるため、仰向けの姿勢での長時間施術は避け、楽な体勢を選びましょう。
ステップ1:おへその周りを温めるように優しく手を当てる
まず、両手で優しくお腹全体を包み込むように触れ、手のひらの温かさを伝えます。
深呼吸をしながらリラックスし、これからマッサージを始める合図をお腹に送るようなイメージです。
摩擦が気になる場合は、肌に優しいマタニティ用のオイルやクリームを手に取って温めてから使うと、滑りが良くなり、リラックス効果も高まります。
ステップ2:時計回りにゆっくり「の」の字を描く
手のひら全体を使い、おへその周りを時計回りに、ひらがなの「の」の字を描くようにゆっくりとさすります。
これは、大腸の走行に沿った動きで、便の流れを自然にサポートします。
右下腹部からスタートし、肋骨の下を通り、左下腹部へと向かう大きな円を描くように、5〜10周ほど優しくなでるようにマッサージしましょう。
【専門家が解説】妊婦さんが実践するときの力加減と回数の目安
妊婦さんがマッサージを行う際の力加減は、「強く押す」のではなく「優しくなでる」程度が鉄則です。
お腹の皮膚表面をそっとさするくらいの圧で、赤ちゃんを圧迫しないように注意してください。
マタニティケア専門の鍼灸院などでは、母体への負担を最小限にする繊細な手技が用いられますが、セルフケアでも同様に、決して力を入れすぎないことが重要です。
1回のマッサージは5分以内を目安にし、気持ちが良いと感じる範囲で終えましょう。
【時期別】お腹の大きさに合わせた便秘解消アプローチ
妊娠期間中は、お腹の大きさや体調が大きく変化するため、時期に合わせた便秘解消アプローチを取り入れることが大切です。
特に刺激に敏感な初期、体調が安定してくる中期、お腹が大きくなる後期では、マッサージの方法や注意点も異なります。
それぞれの時期に適したケアを行うことで、妊婦さんの身体に負担をかけずに便秘解消を目指せます。
マッサージに加えて、日々の生活習慣を見直すことで、便秘になりにくい体作りを目指せます。
【妊娠初期】つわり中でも安心!お腹を直接刺激しない背中と腰のマッサージ
つわりがあったり、お腹への刺激に敏感になったりする妊娠初期は、お腹を直接マッサージするのは避けましょう。
代わりに、腰回りや仙骨(お尻の割れ目の上にある骨)のあたりを優しくさすったり、カイロや蒸しタオルで温めたりするのがおすすめです。
腰を温めることで、間接的に腸の血行を促進し、動きをサポートする効果が期待できます。
腰痛や身体の不調が出やすい時期なので、全身の巡りを意識したケアを心がけてください。
【妊娠中期】腸の動きをサポートするお腹の側面へのソフトな刺激
妊娠中期は体調が落ち着いてくる時期であり、便秘対策として、お腹の「の」の字マッサージを優しく行うことが推奨されます。この時期も、強い圧はかけず、あくまでリラックスして行うことが大切です。
【妊娠後期】大きなお腹でも楽な姿勢でできる足裏・手のツボ押し
妊娠後期にお腹が大きくなり仰向けの姿勢が辛い場合は、座ったまま行えるツボ押しがおすすめです。
足の裏をマッサージすることは、お腹に負担をかけずにリラックスを促す助けになります。
ただし、子宮の収縮を促す可能性のあるツボ(三陰交や合谷など)への強い刺激は避け、あくまで気持ち良いと感じる程度の圧で行いましょう。
マッサージと組み合わせると効果的!腸の働きを助ける3つの生活習慣
便秘解消のためには、マッサージという外からのアプローチだけでなく、体の中から腸の働きをサポートする生活習慣を整えることが非常に効果的です。
食事や水分補給、適度な運動、そしてリラックスできる時間を持つことは、腸内環境を根本から改善し、便秘になりにくい体質づくりにつながります。
これらのセルフケアを試しても改善しない場合は、無理せず専門家に相談しましょう。
腸内環境を整える食事のポイントと水分補給のコツ
腸内環境を整えるためには、善玉菌のエサとなる食物繊維やオリゴ糖、そして善玉菌そのものである発酵食品をバランスよく食事に取り入れることが重要です。
きのこ類や海藻類、ヨーグルト、納豆などを積極的に摂取しましょう。
また、便を柔らかくするためには十分な水分補給が不可欠です。
一度に大量に飲むのではなく、1日を通してこまめに水を飲む習慣をつけましょう。
無理なく続けられる!妊婦さん向けの簡単なストレッチ方法
適度な運動は、血行を促進し腸の蠕動運動を活発にします。
妊婦さんでも無理なく行えるウォーキングやマタニティヨガ、ストレッチなどを日常生活に取り入れましょう。
特に、四つん這いになって背中を丸めたり反らしたりする「猫のポーズ」は、お腹に負担をかけずに腸を優しく刺激できるため、便秘解消におすすめのストレッチです。
自律神経を整えてリラックスするための腹式呼吸
ストレスや緊張は自律神経のバランスを乱し、腸の働きを低下させる原因になります。
リラックス効果の高い腹式呼吸を習慣にすることで、副交感神経が優位になり、腸の活動が活発化します。
鼻からゆっくり息を吸ってお腹を膨らませ、口から時間をかけて息を吐ききる、という動作を繰り返します。
就寝前などに行うと、心身ともにリラックスでき、安眠にもつながります。
セルフケアで便秘が解消しない…産婦人科に相談するタイミングとは
マッサージや生活習慣の改善を試みても、妊娠中の便秘が解消されない場合は、一人で抱え込まずにかかりつけの産婦人科に相談しましょう。
数日間排便がなかったり、腹痛やお腹の張りが強かったり、便が硬くて排便時に痛みや出血を伴ったりする場合は、受診の目安です。
妊娠中でも安全に服用できる酸化マグネシウムなどの緩下剤を処方してもらうことで、つらい症状を和らげることができます。
専門家による適切な治療を受けることも、快適なマタニティライフを送るための大切な選択肢です。
妊娠中の便秘マッサージに関するよくある質問
ここでは、妊娠中の便秘マッサージに関して、妊婦さんからよく寄せられる質問にお答えします。
安全にケアを続けるための参考にしてください。
妊娠中の便秘マッサージはいつから始めても大丈夫ですか?
体調が安定していれば妊娠初期から可能ですが、控えるべき体調のサインがないことが前提です。
特につわりが辛い時期や、お腹の張りを感じやすい場合は避けましょう。
より安心して始めるなら、一般的に体調が安定する妊娠中期(安定期)からがおすすめです。
マッサージ中にお腹が張ってきた場合の対処法を教えてください
マッサージ中にお腹が石のように硬くなる、キューっとするなどの張りを感じた場合は、すぐにマッサージを中止してください。
体の左側を下にしたシムスの体位など、ご自身が楽だと感じる姿勢で安静にし、張りが治まるのを待ちましょう。
張りが頻繁に起こる、治まらない場合は、かかりつけの産婦人科に連絡してください。
旦那さんに妊娠中の便秘マッサージをしてもらう際の注意点はありますか?
旦那さんに協力してもらう際は、事前に力加減を具体的に伝えることが最も重要です。
「押す」のではなく「優しくなでる」程度で、妊婦さん自身が心地よいと感じる強さで行ってもらいましょう。
コミュニケーションを取りながら、少しでも痛みや不快感があればすぐに伝えて、中止してもらうようにしてください。
まとめ
妊娠中の便秘解消には、お腹の赤ちゃんに配慮した優しいマッサージが有効です。
ご自身の体調を最優先し、控えるべきサインを見逃さないようにしましょう。
基本の「の」の字マッサージに加え、妊娠時期に合わせたケアや生活習慣の改善を組み合わせることで、より効果が期待できます。
セルフケアで解消しない場合は一人で悩まず産婦人科に相談することが、健やかなマタニティライフを送るための鍵です。
松本 悠花 【資格】 【経歴】 【SNS】この記事の監修者

住吉鍼灸院アネックス 院長
2007年に鍼師・灸師の資格を取得。
地元の鍼灸院で妊活サポート、介護リハビリ、訪問鍼灸などの臨床経験を積んだ後、2012年に株式会社ブレイシングへ入社。
2016年より大島はり灸院でマタニティケアに従事し、副院長・院長を歴任。
2022年10月に住吉鍼灸院アネックスを開院し、現在は妊娠中の不調、逆子、産後ケアを中心に対応している。マタニティ領域では2万件以上の症例を担当。
はり師、きゅう師、とこちゃんベルトアドバイザー
2007年 国際メディカルテクノロジー専門学校卒業
2007年 地元の鍼灸院にて妊活、介護リハビリ、訪問鍼灸に従事
2012年 株式会社ブレイシング入社
2016年 大島はり灸院にてマタニティケアに従事
2022年10月 住吉鍼灸院アネックス開院・院長就任
インスタグラム:https://www.instagram.com/sumiyoshishinkyuin_anx/










