完母の生理はいつ再開?産後に来ない原因と受診の目安を解説

完全母乳(完母)での育児中、産後の生理がなかなか再開しないと「いつから始まるのだろう」「自分の体に問題があるのでは?」と不安になる方も多いでしょう。
この記事を読むことで、完母における生理再開の平均的な時期や、なぜ生理が来ないのかという体の仕組みを理解できます。
ご自身の現状が正常の範囲内であるか判断し、必要であれば落ち着いて受診を検討できるようになります。
この記事でわかること
・ 完母で生理の再開が遅れる身体の仕組み
・ 生理がいつから再開するかの平均的な時期と個人差
・ 産婦人科の受診を検討すべき具体的なケース
・ 生理再開前に排卵し妊娠する可能性があること
そもそも完母だと生理の再開が遅れるのはなぜ?
完全母乳で授乳していると、生理の再開が遅くなる傾向があります。
これは、母乳の分泌に関わるホルモンが、排卵を促す女性ホルモンの働きを抑制するためです。
赤ちゃんがおっぱいを吸う刺激が続く限り、体は「今は妊娠よりも授乳を優先する時期」と判断し、排卵が起こりにくい状態を維持します。
そのため、ミルクや混合栄養の場合と比較して、完母のママは生理が来ない期間が長くなるのが一般的です。
母乳の分泌を促すホルモン「プロラクチン」が排卵を抑制する仕組み
赤ちゃんがおっぱいを吸うと、脳下垂体から「プロラクチン」というホルモンが分泌されます。
このプロラクチンは母乳を作り出す働きを持つ一方で、卵巣での卵子の成熟と排卵を促すホルモンの分泌を抑制する作用も持っています。
授乳頻度が高いほどプロラクチンの血中濃度は高く維持され、排卵が抑制されやすくなるため、結果として生理の再開が遅れます。
完母の場合、産後の生理はいつから再開することが多い?
完母育児中の産後の生理がいつから再開するかは個人差が非常に大きいですが、一般的にはミルクや混合育児の場合よりも遅くなる傾向にあります。
再開時期は、授乳の頻度や1回あたりの量、離乳食の進み具合、そしてママ自身の体質など、さまざまな要因に影響されます。
多くの人が経験する平均的な時期はありますが、それより早くても遅くても、一概に異常とは言えません。
平均は産後10ヶ月〜1年頃!ただし個人差が大きいのが特徴
完全母乳育児の場合、生理再開の時期には個人差が大きいとされています。産後6ヶ月から1年以降、あるいは平均5〜7ヶ月以上で再開するといった情報があり、産後10ヶ月から1年頃というのはあくまで目安の一つです。早い人では産後6ヶ月や8ヶ月で再開することもありますし、卒乳に近い産後1年半頃まで再開しない人もいます。産前の生理周期や体質も影響するため、平均時期とずれていても過度に心配する必要はありません。
【体験談】産後2〜3ヶ月で生理が再開するケースも珍しくない理由
「完母なら生理は遅い」と聞いていたのに、産後2ヶ月や産後3ヶ月といった早い時期に再開して驚く人も少なくありません。
これは、プロラクチンの分泌量や、それに対する体の反応に個人差があるためです。
例えば、夜間の授乳間隔が早い段階から空く場合や、赤ちゃんが一度にたくさん飲むため授乳回数が少ない場合など、プロラクチンの分泌が排卵を抑制するほど高くならないケースでは、比較的すぐ生理が戻ることがあります。
離乳食の開始や夜間授乳の減少が生理再開のサインに
離乳食の開始は、生理再開の大きなきっかけの一つです。
離乳食が進むと、その分母乳を飲む量が減り、授乳回数も自然と減少します。
特に、睡眠に関わる夜間授乳がなくなると、プロラクチンの分泌量が大きく低下するため、排卵が起こりやすくなり生理の再開につながります。
生活リズムの変化が、体の変化のサインとなるのです。
ホルモンだけじゃない?生理の再開が遅れる心と身体の根本原因
産後の生理の再開が遅い原因は、母乳分泌ホルモン「プロラクチン」の影響だけではありません。
出産という大きな仕事を終えた母体は、心身ともに大きな変化の中にいます。
育児に伴う生活の変化や、妊娠中からの身体的な影響も、ホルモンバランスに作用し、生理がなかなか来ない要因となっている場合があります。
体の回復には個人差があるため、ホルモン以外の原因も考えることが大切です。
育児による睡眠不足やストレスが自律神経の乱れを引き起こす
産後の慣れない育児、特に夜間の授乳などによる慢性的な睡眠不足や精神的なストレスは、自律神経のバランスを乱す大きな原因です。
自律神経はホルモン分泌をコントロールする司令塔の役割も担っているため、そのバランスが崩れると、排卵に必要なホルモンが正常に分泌されず、生理の再開が遅い状態につながることがあります。
鍼灸などでは、こうした自律神経の乱れを整え、心身をリラックスさせるアプローチも行われます。
妊娠中からの身体の変化が産後の回復に影響している可能性も
妊娠・出産は、骨盤の開きや歪み、腹筋のダメージなど、女性の身体に大きな変化をもたらします。
これらの身体的な変化からの回復が遅れると、全身の血行不良やエネルギー不足につながり、子宮や卵巣の機能が回復するのも遅れがちになります。
その結果、ホルモンバランスが整いにくく、出産後の生理再開に時間がかかる一因となることも考えられます。
そろそろかも?生理再開の前にみられる身体の予兆
産後の生理が再開する前に、身体に何らかのサインを感じる方もいますが、多くの場合、明確な予兆を感じにくいことがあります。長らく経験していなかった感覚に、「もしかして始まった?」と気づくきっかけになるかもしれません。しかし、これらの兆候には個人差があり、まったく感じないまま突然出血が始まる人もいます。自身の体調変化に注意を向けることが大切です。
おりものの量や状態が妊娠前のように変化する
生理再開が近づくと、排卵に向けてホルモンバランスが変化し始め、おりものの量や性状が変わることがあります。
産後は乾燥気味だったのが、急に量が増えたり、卵の白身のような透明で伸びるおりものが出たりしたら、排卵が近いサインかもしれません。
これは、妊娠前の排卵期に経験した変化と似ています。
懐かしい下腹部痛や腰まわりの重さを感じる
生理前の特有の症状である、下腹部の鈍い痛みや、腰全体が重だるく感じる感覚が戻ってくることがあります。
久しぶりの感覚に戸惑うかもしれませんが、これも子宮や卵巣が再び活動を始めた兆候の一つです。
痛みの程度は人それぞれですが、妊娠前を思い出すような懐かしい痛みを感じることがあります。
頭痛やイライラなど月経前症候群(PMS)に似た不調が出る
生理前に起こる心身の不調、月経前症候群(PMS)のような症状が、産後最初の生理前にも現れることがあります。
原因不明の頭痛や、わけもなくイライラしたり気分が落ち込んだり、体がむくんでだるさを感じる、貧血のような立ちくらみがするなど、ホルモンバランスの変動によるさまざまな不調が、生理再開のサインとなる場合もあります。
【重要】完母で生理がなくても妊娠の可能性があるのは本当?
「生理が来ない間は妊娠しない」と考えるのは誤解です。
完全母乳で授乳中であっても、生理が再開する前に妊娠する可能性は十分にあります。
これは「無排卵月経」という言葉のイメージから誤解されがちですが、実際には体のメカニズム上、予期せぬ妊娠につながるリスクがあるため、次の妊娠を望んでいない場合は注意が必要です。
生理再開前の「最初の排卵」で妊娠するケースに注意が必要
体の仕組みとして、「排卵が起こり、その約2週間後に生理が来る」という順番になっています。
つまり、産後最初の生理が来るということは、その前にすでに一度排卵が起きているということです。
この最初の排卵のタイミングで避妊をせず性交渉を持つと、生理の再開をみないまま妊娠が成立する可能性があります。
そのため、家族計画を考えている場合は、生理がなくても適切な避妊を行うことが重要です。
これって大丈夫?産婦人科の受診を検討すべきケース
産後の生理が来ないことについて、基本的には過度な心配は不要ですが、中には医療機関への相談を検討した方が良いケースも存在します。
特に、授乳という要因がなくなったにもかかわらず生理が再開しない場合や、長期間にわたって兆候がない場合、あるいは不正出血など他の症状を伴う場合は、一度産婦人科で診察を受けることをお勧めします。
断乳してから3ヶ月以上たっても生理が来ないとき
授乳をやめると、プロラクチンの影響がなくなるため、通常は数ヶ月以内に生理が再開します。
もし断乳や卒乳をしてから3ヶ月以上経っても生理が来ない場合は、高プロラクチン血症や甲状腺機能の異常など、他の原因が隠れている可能性も考えられます。
産後3ヶ月を過ぎても再開しない場合は、一度医師に相談してみましょう。
産後1年半を過ぎても再開の兆しがまったくないとき
完母の場合、生理の再開が遅れることは珍しくありませんが、一つの目安として産後1年半(18ヶ月)を過ぎても全く再開しない場合は、念のため受診を検討するとよいでしょう。
特に他に気になる症状がなくても、ホルモンバランスの状態などを確認してもらうことで、安心して過ごすことができます。
不正出血や激しい腹痛など他の気になる症状があるとき
生理の再開とは別に、ダラダラと続く少量の出血(不正出血)があったり、我慢できないほどの激しい腹痛や下腹部痛があったりする場合は、子宮や卵巣の病気、あるいは子宮の回復不全などの可能性も考えられます。
このような症状は放置せず、早めに産婦人科を受診してください。
産後の生理に関して事前に知っておきたいこと
待望の生理が再開しても、出産前の状態と全く同じように戻るとは限りません。
出産後の身体は、ホルモンバランスや子宮の状態が変化しているため、生理の周期や経血の量、痛みの程度などが以前と変わることがよくあります。
こうした変化について事前に知っておくことで、いざ再開したときに慌てず冷静に対処できます。
再開したばかりの生理周期は不安定になりやすい
産後に再開したばかりの生理は、ホルモンバランスがまだ整っていないため、周期が不順になりがちです。
「先月は25日周期だったのに、今月は40日経っても来ない」といったように、しばらくは不安定な状態が続くことが珍しくありません。
数ヶ月から1年ほどかけて、徐々に以前の周期に戻っていくのが一般的です。
経血の量や生理痛の程度が変わることもある
出産を経て子宮の状態が変化したことにより、経血の量や生理痛の程度が変わることがあります。
子宮頸管が広がったことなどで経血がスムーズに排出され、生理痛が軽くなる人もいれば、逆に重くなる人もいます。
経血の量が以前より極端に少ない、あるいは多くなったと感じることもありますが、多くは一時的なものです。
茶色い血は異常?悪露と生理の具体的な見分け方
産後1ヶ月頃まで続く「悪露(おろ)」と生理の出血は見分けがつきにくいことがあります。
悪露は徐々に色が薄く(赤→茶色→黄色→白)なり、量も減っていくのが特徴です。
一方、生理は鮮血から始まり、数日間続きます。
再開した生理の血が茶色いこともありますが、悪露か生理か、あるいは不正出血か判断に迷う場合は、量や期間、匂いなどを観察し、気になるなら医師に相談しましょう。
完母の生理再開に関するよくある質問
ここでは、完全母乳(完母)での育児中のママたちから寄せられる、産後の生理再開に関するさまざまな疑問について、Q&A形式でお答えします。
多くの方が抱える共通の悩みや不安を知ることで、ご自身の状況を客観的に見つめ直すきっかけにもなるでしょう。
完母だと産後1年以上生理が来ないこともありますか?
はい、珍しいことではありません。
授乳頻度やママの体質によっては、産後1年を過ぎても生理が来ないケースは多く見られます。
中には産後1年半ほどで再開する方もいます。
ただし、断乳後3ヶ月経っても来ない場合や、他に気になる症状があれば、一度産婦人科で相談することをおすすめします。
生理が再開すると母乳の味や量に影響は出ますか?
生理が再開する前後のホルモンバランスの変化により、一時的に母乳の味が変わったり、分泌量が少し減ったりすることがあると言われています。
しかし、多くの赤ちゃんは気にせず飲み続けてくれますし、授乳をやめる必要はありません。
赤ちゃんの様子を見ながら、これまで通り授乳を続けて大丈夫です。
二人目不妊が心配です。生理が来ないままだと妊娠は難しいですか?
生理が来ない状態は、排卵が抑制されているサインなので、その間の妊娠は難しいと言えます。
二人目の妊活を本格的に考える場合は、まず生理が再開し、排卵周期が戻ることが第一歩です。
ただし、前述の通り生理再開前の最初の排卵で妊娠する可能性もあるため、体の変化には注意が必要です。
まとめ
完全母乳(完母)の場合、産後の生理再開はホルモンの影響で遅れるのが一般的で、平均は産後10ヶ月から1年頃ですが、個人差が非常に大きいです。
授乳頻度の減少や離乳食の開始が再開のきっかけになることが多いですが、育児のストレスや睡眠不足も影響します。
生理再開前にはおりものの変化などの予兆が見られることもありますが、生理がなくても排卵している可能性があり、妊娠には注意が必要です。
断乳後3ヶ月経っても再開しない場合や、産後1年半を過ぎても兆候がない場合は、一度産婦人科への相談を検討しましょう。
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松本 悠花 【資格】 【経歴】 【SNS】この記事の監修者

住吉鍼灸院アネックス 院長
2007年に鍼師・灸師の資格を取得。
地元の鍼灸院で妊活サポート、介護リハビリ、訪問鍼灸などの臨床経験を積んだ後、2012年に株式会社ブレイシングへ入社。
2016年より大島はり灸院でマタニティケアに従事し、副院長・院長を歴任。
2022年10月に住吉鍼灸院アネックスを開院し、現在は妊娠中の不調、逆子、産後ケアを中心に対応している。マタニティ領域では2万件以上の症例を担当。
はり師、きゅう師、とこちゃんベルトアドバイザー
2007年 国際メディカルテクノロジー専門学校卒業
2007年 地元の鍼灸院にて妊活、介護リハビリ、訪問鍼灸に従事
2012年 株式会社ブレイシング入社
2016年 大島はり灸院にてマタニティケアに従事
2022年10月 住吉鍼灸院アネックス開院・院長就任
インスタグラム:https://www.instagram.com/sumiyoshishinkyuin_anx/








