胎盤の役割とは?いつ完成する?赤ちゃんの命を守る驚きの働きを解説

妊娠中、お腹の赤ちゃんと母体をつなぐ「胎盤」について、その役割やいつ完成するのか気になっている方も多いのではないでしょうか。
胎盤の役割とは、赤ちゃんの生命を維持するための重要な機能を持つ、妊娠期間中だけ作られる特別な臓器です。
この記事を読めば、胎盤の役割と完成時期を正しく理解し、赤ちゃんの健やかな成長のために妊娠中に注意すべきことを判断できるようになります。
この記事でわかること
・ 赤ちゃんの生命維持に不可欠な胎盤の4つの役割
・ 胎盤が完成する「安定期」の目安と、流産リスクが低下する仕組み
・ 健やかな胎盤を育むために妊娠中に意識すべき生活習慣
・ 知っておくべき胎盤の代表的なトラブルと注意すべき症状
胎盤とはそもそも何?お腹の赤ちゃんを育むための重要な器官
胎盤とは、妊娠中に母体の子宮内に形成される、赤ちゃんの成長に不可欠な臓器です。
受精卵が子宮内膜に着床した時点から作られ始め、へその緒を介して赤ちゃんと母体をつなぐ役割を果たします。
円盤のような形をしており、出産時には直径約20cm、厚さ約3cm、重さ約500gにまで成長します。
妊娠期間中限定で存在し、赤ちゃんが生まれると、その役目を終えて体外へ排出されるのが特徴です。
赤ちゃんの生命維持装置!胎盤が担う4つの重要な役割
胎盤は、まだ自身の力で生命を維持できないお腹の赤ちゃんにとって、まさに生命維持装置そのものです。
母親の体から酸素や栄養を受け取り、不要になった老廃物を母体へ返すという重要な交換機能をはじめ、妊娠を維持するためのホルモン分泌や、有害物質から胎児を守るバリア機能も担っています。
例えるなら、胎児にとっての「肺」「胃腸」「腎臓」の役割をすべて代行する、極めて高機能な器官といえます。
次の章では、これらの4つの役割について詳しく解説します。
【役割1】酸素と栄養を赤ちゃんに届けるパイプライン機能
胎盤の最も重要な役割の一つが、赤ちゃんが呼吸し、成長するための酸素と栄養を供給することです。
胎児は子宮内で自ら呼吸ができないため、胎盤を介して母親の血液に含まれる酸素を受け取り、代わりに二酸化炭素を母体の血液へ戻します。
これは胎児の「肺」の機能にあたります。
また、母親が食事から摂取したブドウ糖、アミノ酸、脂質、ビタミン、ミネラルなどの栄養素も、同じく胎盤を通じて胎児へと送られ、赤ちゃんの体を作る材料となります。
この働きは「胃腸」の役割と言えるでしょう。
【役割2】赤ちゃんの老廃物を母体に送り返す排出機能
赤ちゃんは、成長の過程で新陳代謝を行い、尿素などの老廃物を排出します。
しかし、胎児の腎臓はまだ未熟で、老廃物を体外に排泄する機能が十分に備わっていません。
そこで胎盤が「腎臓」の代わりとなり、胎児の血液中にある老廃物を受け取って、母親の血液へと送り返す役割を担います。
母体の血液に戻された老廃物は、最終的に母親自身の腎臓でろ過され、尿として体外へ排出される仕組みです。
このように、胎盤は赤ちゃんの体内環境をクリーンに保つためにも不可欠な存在です。
【役割3】妊娠状態を維持するためのホルモンを分泌する工場機能
胎盤は、妊娠の維持と母体の変化をコントロールする重要なホルモンを分泌する「内分泌器官」としての機能も持っています。
代表的なホルモンには、妊娠検査薬で陽性反応を示すもとになる「hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)」や、妊娠の維持に欠かせない「プロゲステロン(黄体ホルモン)」、「エストロゲン(卵胞ホルモン)」などがあります。
これらのホルモンは、子宮内膜を厚く保って流産を防いだり、乳腺を発達させて母乳の準備を促したりと、出産に向けて母体を最適な状態に整える働きをします。
【役割4】有害物質の侵入を防ぎ赤ちゃんを守るフィルター機能
胎盤には、母親の血液中にある物質を選別し、赤ちゃんにとって有害な細菌やウイルス、毒素などが侵入するのを防ぐ「関所」のようなフィルター機能があります。
このバリア機能により、胎児は多くの感染症から守られています。
一方で、母親が持つ特定の病気に対する抗体(免疫グロブリンG)は意図的に通過させ、赤ちゃんに免疫をプレゼントするという優れた側面も持ち合わせています。
ただし、このフィルター機能は万能ではなく、一部の物質は通過してしまうため注意が必要です。
胎盤のフィルター機能にも限界が|薬やアルコールが与える影響
胎盤のフィルター機能は非常に優秀ですが、すべての有害物質を完璧に防げるわけではありません。
分子のサイズが小さい物質は、このバリアを通過して赤ちゃんに届いてしまうリスクがあります。
特に、アルコールやタバコに含まれるニコチン、そして一部の医薬品などは胎盤を通過しやすく、胎児の成長に深刻な影響を及ぼす可能性があります。
妊娠中の薬の服用については自己判断せず、必ず医師や薬剤師に相談することが重要です。
胎盤を通過して赤ちゃんに届いてしまうもの
妊娠中に特に注意が必要な、胎盤を通過しやすい物質には以下のようなものがあります。
アルコール:胎児性アルコール症候群を引き起こし、発育の遅れや中枢神経系の問題につながるリスクがあります。
ニコチン(タバコ):血管を収縮させて胎盤への血流を悪化させ、低出生体重児や早産、常位胎盤早期剥離のリスクを高めます。
一部の医薬品:薬の種類によっては、胎児の奇形や発育に影響を与えるものがあるため、服用は医師の指示が必須です。
カフェイン:過剰摂取は胎児の発育に影響する可能性が指摘されており、摂取量には注意が必要です。
一部のウイルス:風疹ウイルスやサイトメガロウイルスなどは胎盤を通過して赤ちゃんに感染することがあります。
胎盤がバリアとなり赤ちゃんを守ってくれるもの
一方で、胎盤のフィルター機能が効果的に働き、赤ちゃんの安全を守ってくれる物質も多く存在します。
一般的に、分子のサイズが大きいものは胎盤を通過しにくいとされています。
例えば、多くの種類の細菌は胎盤を通過できないため、母体が軽い細菌感染を起こしても、赤ちゃんに直接影響が及ぶことは稀です。
また、インスリンやヘパリンといった分子量の大きい薬も胎盤を通過しにくいことが知られています。
このバリア機能のおかげで、赤ちゃんは子宮内で安全に成長できます。
胎盤はいつ完成するの?「安定期」と呼ばれる理由
胎盤は、妊娠初期から形成が始まり、一般的に妊娠15週~16週頃(妊娠5ヶ月の初め)に完成します。
この時期は、多くの人が「安定期」と呼ぶタイミングと重なります。
胎盤が未完成な妊娠初期は、胎児の状態がまだ不安定で、残念ながら流産のリスクも比較的高くなります。
しかし、胎盤が完成すると母体と赤ちゃんのつながりがより強固になり、ホルモンバランスも安定するため、流産のリスクが大幅に低下します。
これが、胎盤の完成時期が「安定期」と呼ばれる大きな理由です。
妊娠16週頃に完成し、つわりが落ち着くことが多い
胎盤の形成は、妊娠初期の5週、6週頃から始まり、8週、9週と進むにつれて活発化し、妊娠5ヶ月にあたる16週頃にその機能が完全に確立されます。
つわりがこの時期に落ち着くことが多いのには、ホルモンが関係しています。
つわりの原因の一つとされるhCGホルモンは、胎盤が作られている過程で分泌量がピークに達します。
そして、胎盤が完成するとhCGホルモンの分泌量が減少していくため、多くの妊婦さんで吐き気などのつわりの症状が和らぐ傾向にあります。
胎盤完成後は流産のリスクが低下する理由
妊娠12週未満の初期流産の多くは、赤ちゃん自身の染色体異常が原因とされています。
この時期は胎盤もまだ未完成です。
胎盤が完成する妊娠16週頃になると、赤ちゃん自身の生命力が強まり、母体との接続も安定します。
また、胎盤から分泌されるホルモンによって子宮の環境が妊娠維持に適した状態に保たれるため、流産のリスクが大きく減少します。
このため、身体的にも精神的にも落ち着いてマタニティライフを送りやすい「安定期」へと入っていきます。
健やかな胎盤を育むために妊娠中に意識したい3つのこと
健やかな胎盤を育むことは、お腹の赤ちゃんの成長にとって非常に重要です。
胎盤の機能を直接的に強化する特別な方法は存在しませんが、母体全体の健康状態を良好に保つことが、結果として胎盤の働きをサポートします。
特に、バランスの取れた食事、適度な運動による血行促進、そして身体を冷やさず十分に休息することは、胎盤へ安定して血液や栄養を送るために大切な生活習慣です。
胎盤と赤ちゃんに必要な栄養素をバランスよく摂取する
胎盤の機能維持と赤ちゃんの成長には、多様な栄養素が必要です。
特定の食品に偏るのではなく、主食・主菜・副菜をそろえたバランスの良い食事を心がけましょう。
特に、赤ちゃんの神経管閉鎖障害のリスクを低減する「葉酸」、血液を作るために不可欠な「鉄分」、骨や歯の形成に必要な「カルシウム」、そして体を作る基本となる「たんぱく質」は意識して摂取したい栄養素です。
これらを日々の食事からしっかりとることで、胎盤を通じて赤ちゃんに十分な栄養を届けることができます。
適度な運動で全身の血流を良く保つ
適度な運動は、全身の血行を促進し、胎盤への血液循環をスムーズにする効果が期待できます。
血流が良くなることで、赤ちゃんへ届けられる酸素や栄養素の量も安定します。
医師に相談の上、ウォーキングやマタニティヨガ、スイミングなど、体に負担の少ない運動を日常生活に取り入れましょう。
運動は体重管理や便秘解消、ストレス軽減にも役立ち、心身ともにリラックスしたマタニティライフにつながります。
身体を冷やさず、十分な休息を心がける
東洋医学の観点では、「冷え」は血行不良や身体の緊張を招き、さまざまな不調の原因になると考えられています。
身体が冷えると子宮周りの血流も滞りやすくなり、胎盤の機能に影響を与える可能性も否定できません。
腹巻やレッグウォーマーを活用したり、温かい飲み物を飲んだり、ゆっくりと湯船に浸かったりして、身体を内側と外側から温める工夫をしましょう。
また、十分な睡眠と休息は、ホルモンバランスを整え、ストレスを軽減するために不可欠です。
心身をリラックスさせることが、健やかな胎盤環境につながります。
知っておきたい胎盤の主なトラブルと注意すべき症状
ほとんどの妊娠では胎盤は正常に機能しますが、稀にトラブルが起こることもあります。
胎盤の異常は、母子ともに大きなリスクを伴う可能性があるため、正しい知識を持ち、注意すべき症状を知っておくことが大切です。
胎盤トラブルの中には妊婦健診で早期に発見できるものもあります。
過度に心配する必要はありませんが、出血や急な腹痛など、いつもと違う症状を感じた場合は、すぐに医療機関に連絡しましょう。
出血に注意が必要な「前置胎盤」
前置胎盤とは、胎盤が子宮の出口(内子宮口)の一部または全部を覆うように、通常より低い位置に付着してしまう状態です。子宮口が広がる際に出血しやすく、痛みを伴わない「警告出血」が特徴的な症状です。出血量が多い場合は母子ともに危険な状態になるリスクがあり、輸血や緊急帝王切開が必要になることもあります。
低置胎盤は、胎盤辺縁と内子宮口との最短距離が2cm以内の状態を指し、出血のリスクがあるため慎重な管理が求められます。胎盤辺縁と内子宮口が3cm以上離れていれば、通常、リスクは低いとされます。
激しい腹痛を伴う「常位胎盤早期剥離」
常位胎盤早期剥離は、通常は赤ちゃんが生まれた後にはがれるはずの胎盤が、妊娠中や分娩が始まる前にはがれてしまう、非常に危険な状態です。
突然の激しい腹痛、お腹が板のように硬くなる、性器からの出血(ない場合もある)などが主な症状です。
胎盤がはがれると、赤ちゃんへの酸素や栄養の供給が途絶えてしまうため、胎児機能不全に陥るリスクが極めて高くなります。
母体も大量出血によるショック状態になる可能性があり、一刻も早い医療対応が必要な緊急事態です。
胎盤の働きが弱まる「胎盤機能不全」
胎盤機能不全とは、胎盤のガス交換や栄養供給といった働きが何らかの原因で低下してしまう状態を指します。
主な原因として、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病、喫煙、過期妊娠などが挙げられます。
胎盤の機能が低下すると、赤ちゃんに十分な酸素や栄養が届かなくなり、お腹の中での発育が遅れる「胎児発育不全」を引き起こすリスクが高まります。
自覚症状はほとんどなく、妊婦健診での超音波検査などで発見されることが多いため、定期的な受診が非常に重要です。
役目を終えた出産後の胎盤はどうなる?
約10ヶ月にわたり赤ちゃんの成長を支え続けた胎盤は、赤ちゃんが生まれた後にその役目を終えます。
赤ちゃんの誕生後、数分から数十分以内に子宮壁から自然にはがれ落ち、体外へと排出されます。
これを「後産」と呼びます。
排出された胎盤は、医師や助産師によって、欠けている部分がないか、異常がないかなどを詳しく観察されます。
確認が終わった後の胎盤は、医療廃棄物として適切に処理されるのが一般的です。
胎盤の役割や機能に関するよくある質問
ここでは、胎盤の役割や機能に関して多くの方が抱く疑問について、Q&A形式で簡潔にお答えします。
胎盤が果たす役割を簡単に説明すると何ですか?
胎盤の役目は、お腹の赤ちゃんにとっての「生命維持装置」です。
母親の血液から酸素と栄養を受け取って赤ちゃんに届け、代わりに二酸化炭素や老廃物を母親に戻すガス交換機能が中心です。
また、妊娠を維持するホルモンを分泌したり、有害物質から赤ちゃんを守るフィルターの役割も担っています。
自分の胎盤の位置はエコーで確認できますか?
はい、妊婦健診で行われる超音波(エコー)検査で確認できます。
医師はエコーを使って、胎盤が子宮の前壁、後壁、側壁など、どの位置に付着しているかを確認します。
同時に、胎盤が子宮の出口を塞いでいないか(前置胎盤の有無)など、トラブルにつながる異常がないかもチェックしています。
胎盤の機能が正常に働いているか知る方法はありますか?
胎盤の機能を直接測定する方法はありませんが、妊婦健診で間接的に確認します。
超音波検査で胎児の推定体重や体の各部分の大きさを測り、週数相当に成長しているかを見ることで、胎盤が十分に栄養を供給できているかを判断します。
また、羊水の量やへその緒の血流なども胎盤機能の指標となります。
まとめ
胎盤は、妊娠期間中だけ存在する特別な臓器であり、お腹の赤ちゃんに酸素と栄養を届け、老廃物を回収し、ホルモンを分泌するなど、生命維持に不可欠な役割を担っています。
一般的に妊娠16週頃に完成し、安定期を迎える大きな要因となります。
胎盤のフィルター機能には限界があるため、アルコールやタバコなどを避けることが重要です。
健やかな胎盤を育むためには、バランスの取れた食事、適度な運動、体を冷やさない生活が大切になります。
不安なことがあれば、一人で抱え込まずにかかりつけの医師に相談しましょう。
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松本 悠花 【資格】 【経歴】 【SNS】この記事の監修者

住吉鍼灸院アネックス 院長
2007年に鍼師・灸師の資格を取得。
地元の鍼灸院で妊活サポート、介護リハビリ、訪問鍼灸などの臨床経験を積んだ後、2012年に株式会社ブレイシングへ入社。
2016年より大島はり灸院でマタニティケアに従事し、副院長・院長を歴任。
2022年10月に住吉鍼灸院アネックスを開院し、現在は妊娠中の不調、逆子、産後ケアを中心に対応している。マタニティ領域では2万件以上の症例を担当。
はり師、きゅう師、とこちゃんベルトアドバイザー
2007年 国際メディカルテクノロジー専門学校卒業
2007年 地元の鍼灸院にて妊活、介護リハビリ、訪問鍼灸に従事
2012年 株式会社ブレイシング入社
2016年 大島はり灸院にてマタニティケアに従事
2022年10月 住吉鍼灸院アネックス開院・院長就任
インスタグラム:https://www.instagram.com/sumiyoshishinkyuin_anx/









